07.モートロイドの操縦

人造ロボット生命体であるモートロイドはモートウォーカーと同く搭乗し人為的に操縦することも可能だ。
これには大きい理由がある。

■簡略化の必要性

モートウォーカーが登場した当初、今までの乗り物とは違いより複雑な操作を必要としたため操縦には多様な機体制御が必要となり人々はこれをいかにシンプルに出来るかずっと悩んでいた。
工業・産業・レジャー用として使用する民間機ならともかく、警備・治安・軍用となればこれはとても重要な問題となる。

■操縦システムの発展

最初期は既存の重機のようにほぼマニュアル操作で行っていたが、あまりにも不便な操作に慣れるまでは相当な時間が必要だった。
これを補完するためにいくつかのシステムが考案された。

ADMコントロール
コックピットに固定された機械のスーツを操縦者が着用し、操縦者の動きをアナログ方式でそのまま伝える「アナログダイレクトムーブ」方式。
しかしこの方法では人間以上の動きをすることが難しいく、またウォーカー本体の可動範囲は人間と差があり思いのほか自由に動かす事は出来なかった。
またウォーカー本体が周りの環境から受ける動きを操縦者にどこまで伝えるべきかか問題となっていた。
例えばウォーカーの腰が外部要因により180度回ってしまった時、操縦者にそれをそのまま伝える事は出来ない。
だとして伝えなければ自分がどのような状況に置かれているのか把握しづらくこれもまた大きい危険要因となる、というフィードバックに関して大きいジレンマがあった。

●DSOコントロール
事前にプロフラムされた一定の動きを状況に応じて適応させ操作をシンプルに
させる「デジタルセミオートオペレーティング」方式。
前進、旋回、ジャンプなど簡単な命令を入力すれば周りや状況条件に応じ適切な動きをOSが自動で選択してくれる、そして必要な時だけマニュアルで操作、まるでゲームのような感覚で操縦できるシステムだ。
実際旧世紀から続いてきたビデオゲームの操作で多くのヒントを得ている。
必要最小限のボタンで同時押しやタイミングによりショットカット操作を行うこともでき、また個人のカスタマイズにより設定を調整する事も可能でその応用方法は実に無限のセンスを秘めている。
OSの開発には苦労していたがポリニアンによる技術で実用できる高いレベルのシステムが完成された。
そしてこのレベルの高さが評価され現代における一般的なウォーカーの操縦方法として定着された。
操縦コンソールはシートの左右にハンドグリップがありそこにある方向キーやアナログスティック、そして様々なボタンで操作する。
ハンドグリップはそれ自体を飛行機操縦のように動かしたりはせずあくまで握って体を固定しボタンを押すための物である。
車のようなペダルによる操作は機体の揺れやGが激しかったためまともに踏むことが出来ずやがて廃止された。

●NTコントロール
神経接続による操縦
、「ナーブチューニング」方式。
この技術もポリニアンの技術によって完成されたが適応のためには人間の場合手術や適応値が必要だったためこれが可能な人間はわずかしか存在しない。

上記の説明は人間が操作する場合の説明であり、ポリニアンやヒューマンライズしたモートロイドの場合は少し違いがある。

ポリニアンのウォーカー操縦はC(クリスタル)ウェーブコントロールによって動かすことも可能だがフィードバック問題や本人の演算能力に限界があったため、一般的にはDSOコントロールの方法で操縦する。
人間と神経の構造が違うためNTコントロールは出来ない。

モートロイドの場合はウォーカーに専用のコントロールアダプターがあれば直接己の体のように動かす事が出来る
DSOコントロールのOSを介入した操縦ももちろん可能だ。

■モートロイドを操作する理由

生命体であるモートロイドはモートウォーカーと違い自分で自分を自由に動かす事が可能なため人間が乗っているウォーカーよりも効率的で正確、また状況判断も容易と評価されている。
かつては重機が行っていた作業を現在はモートロイドが行うことが多くまた治安軍事職に励んでいる者も多い。

人々はここでさらに効率的で正確な判断、またより高い戦闘力を持たせるべく一つの方法を思い付いた。
それが「モートロイドに人を乗せる」、と言う方法である。

人が乗って操縦する事によってロイド本人は制御や演算、観測や警戒、オペレーティングに集中することが出来るようになった。
パイロットとロイドはお互いの役割を分担する事によってより性能を高めていると言える。
片方のミスが被害をもたらす事もあるため互いの強いパートナシップ・信頼が必要だ。

■ディスプレイシステムの発展

ウォーカーやロイドの操縦席から外を観測するためのシステムもまた色んな発展過程があった。

●キャノピータイプ
操縦席のカーバーが透明アクリル樹脂や強化ガラスになっている。
工業・レジャー用の民間機に多く危険が少ない機体に利用される。

●固定モニタータイプ
カメラの映像を固定位置に設置された少数のモニターに映すタイプ。
視野が限定されているため一々操作によって視点を変えなければならない。
現代の技術力では治安・軍事用としては不向きと判断されている。
民間機としても戦闘機としても微妙な位置付けであるため今は特殊な状況でのみ使用される。

●広角モニタータイプ
球体、もしくはそれに近いブロック内にコックピットがあり、内側のモニターにカメラによって組合された映像データを映すタイプ。
広い方向を見渡すことが出来るため視野確保はとても良好と評価されたが、未注視の方角も常に映しているため無駄な動力の消耗、そして敏感な構造によって起こる頻繁な故障、メンテナンスの困難さにより戦闘用としは実用性が問題視され次第に少数化されていった。
この問題点を補完するために注目されたのがプロジェクター投影方式だった。
より簡単な構造でコストも安く管理しやすいのも長所だが、コックピット内をある程度暗所にする必要があり操作に不便な所がある。
戦闘用機体で一般的とは言えないが現代でも使用されている。

●ヘッドマウントディスプレイ(HMD)タイプ
ヘルメット、ゴーグル型のディスプレイ内装デバイスを利用し観測するタイプ。
パイロットの視線方角に合わせカメラが移動するので普段と同じ感覚で見渡す事が出来る。
各種パラメータも一つのディスプレイに表示され状況把握が容易、またコックピット内部をシンプルに設計できるため効率性も高いと評価されている。
作業・戦闘、パイロット衣装としても使用されている強化スーツ、「ライオネットアーマー」のHMDにそのまま直結する事ができ別途のディスプレイ装置を必要としないのも長所。
状況によって有線・無線切り替えがも可能だ。
現代の戦闘用機体においてもっとも一般的な方式である。

■コックピット内部

HMDタイプのコックピット内部はディスプレイを必要としない事を利用し極めてシンプルかつ安全性を考慮した設計になっている。

殆どの情報はHMDで、操作はハンドグリップで可能なためコックピット内部の補助操作ディスプレイパネルは普段壁の中に閉まった状態になっている。
この補助パネルはHMDが使用不能になったなどの非常時、またメンテナンスなど必要な時だけ取り出して使用する。

壁はクッション材が主でシートにはベルトが、そしてモニター方式なら操作パネルが存在するシート前面部もパイロットが飛ばされないようにクッション材となっている。
これで内部衝撃によるショック事故が激減した。